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電磁波シールド基礎

はじめに


電磁波シールドとは?

電磁波シールド(electromagnetic shielding)とは、電波(electromagnetic wave)が特定の空間や装置に浸透したり、干渉したりすることを防ぐために素材や技術を使用することを言います。電磁波は空間を移動するエネルギーの一種であり、電子機器、電力線、もしくは(雷など)自然現象によって生成される場合もあります。このような電磁波は、他の電子機器による干渉(EMI; electromagnetic interference)を引き起こし、不要な信号やノイズを引き起こすことにより、機器の性能低下や誤作動を引き起こす可能性があります。


電磁波シールドの目標は、電磁波発生源(noise source)と保護すべき領域または装置(victim)の間に障壁を作る事です。このような障壁は、電気的に導電性(electrical conductivity)が高いか、磁気的に透磁率(permeability)が高い素材を使用して電波を反射もしくは吸収するメカニズムで作られます。


電磁波シールドは、航空宇宙、軍事、医療、家電など様々な分野で使われております。例えば、航空宇宙分野では、雷、太陽フレア、その他の電磁波による干渉から重要な航空電子機器や通信システムを保護するために使われております。医療機器分野では、他の電子機器からの干渉を防止したり、電磁波の有害な影響から患者を保護したりするために使われております。


電磁波シールドは、電子機器やシステムが正常に機能するために重要な役割を果たします。電磁波シールドで、様々なアプリケーションが安全で安定的に作動する同時に、電磁波の潜在的な危険から人や装備を保護することが出来ます。



シールドの目的

電磁波シールドの目的は、電磁波の有害な影響から電磁気機やシステムを保護することです。


電磁波は様々な方式で電磁気機に干渉を引き起こし、性能低下、誤作動、故障を引き起こす可能性があります。このような干渉は電磁誘導(electromagnetic induction)、静電結合(electrostatic coupling)または、電磁放射(electromagnetic radiation)のような様々な方式で発生する可能性があります。このような干渉から電子機器及びシステムの適切な機能を保証することが、シールドの目的となります。


例えば、敏感な医療機器の場合、電磁波干渉により不正確な測定値が得られると、患者を危険にさらす可能性があります。同様に、航空電子機器の場合、電磁波干渉が通信システムやナビゲーション機器を妨害し、潜在的に危険な状況を引き起こす可能性があります。



シールドの重要性

現代の電子機器において、電磁波シールドは非常に重要となります。電磁気機やシステムがあらゆる分野に普及するにつれて、電磁干渉の危険性が急速に高まっています。その結果、効果的な電磁波シールドの必要性がこれまで以上に需要となっています。


電磁波シールドの主な利点の一つは、電子機器及びシステムの性能や信頼性を向上させることが出来ることです。電磁干渉を防ぐことが、誤作動リスクを低減し、信号品質を改善し、電子部品の寿命を延ばすことが出来ます。


電磁波シールドは、安全性の事で重要となります。場合によって電磁波干渉は、医療機器や航空電子機器のように潜在的に危険を引き起こすことができます。効果的な電磁波シールドを使うことで、このような危険のリスクを減らし、人と機器の安全を確保することができます。


電磁波シールドの原理


電磁干渉

電磁波干渉(EMI)は、ある電磁機器やシステムが他の機器やシステムに干渉を引き起こす電磁波を生成することで発生する問題となります。EMIは、信号低下、データ損失、さらに電子機器及びシステムの完全な故障など、様々な問題を引き起こす可能性があります。そこで、電磁波シールドの原理が動き始まります。


電磁波シールドの原理は、電波の特性と電波が物質とのどのように相互作用するかに基づいています。電磁波は素材の特性によって反射、吸収または透過することが出来ます。電磁波シールドの目標は電波が特定の空間や装置に侵入したり、干渉したりすることを防止する障壁を作る事です。


電磁波シールドを実現するには、伝導性素材と磁性素材、またはその組み合わせを使用するなど、様様な方法があります。銅やアルミなど伝導性素材は電磁波を反射するシールドを作るために使用することが出来ます。鉄やニッケルのような磁性素材は、電磁波を吸収または変換するために使用することが出来ます。


伝導性または磁性素材を使用する事以外にも他の設計原理を利用し、電磁波シールドの効果を高めることが出来ます。例えば、電磁場を遮断する密閉型伝導性構造物であるファラデーケージ(Faraday cage)を利用してシールドを実現することが出来ます。


電磁波シールドの効果は、該当電磁波の周波数と強度、シールドに使われる素材の特性など、多様な要因によって異なります。場合によっては、所望の保護レベルを達成するために複数のシールドが必要になる事もあります。



電磁波適合性

電磁波適合性(EMC; electromagnetic compatibility)とは、電磁機器やシステムが他の機器やソースからの電磁波干渉(EMI)がある場合でも正常に動作する能力を言います。


EMCは、適切な接地とシールドを含む設計原則の組み合わせることで実現できます。EMCを実現するには、シールドを念頭に置いて電子機器やシステムを設計することが必須的です。これには、すべての構成要素が正しく接地され、シールド素材が適切な位置に配置され、EMIが装置やシステムの性能を妨げないようにすることが含まれます。 また、適切なフィルタリングを使用して、信号品質とデータ伝送に対するEMIの影響を減らすこともできます。


電磁波シールド素材


導電性素材

導電性素材は、電磁波を反射したり、吸収したりする性質により、電磁波シールドに一般的に使われております。導電性素材は、電子が自由うに移動する物質となり、電気を伝導し、電磁エネルギーを吸収するのに非常に効果的であります。電磁波シールドのために一般的に使用されている導電性材料は以下の通りです。



電磁波シールドのための導電性素材の効果は素材の種類と厚み、電磁波の周波数と強度、シールドシステムの設計など、様様な要因によって異なります。一般的により厚く、より導電性の高い素材は、より良いシールド効果を提供しますが、より重く、より高価になる可能性があります。


電磁波シールドシステムを設計する際には、適用部の特定要求事項を顧慮し、望ましいレベルのシールドを実現するため、適切な素材と設計原則を選択することが重要となります。導電性素材は電磁波シールドに非常に効果的であり、様様な分野で使われております。



磁性素材

磁性素材は電磁波シールドに一般的に使用されるもう一つのタイプの材料となります。このような素材は電磁波の電気成分ではなく、磁気成分を吸収または変換する方式で作動しております。


電磁波シールドに一般的に使用されている磁性素材は以下の通りです。



一般的により厚く、より透磁率が高く、飽和磁束密度の高い材料がより良い磁気シールド効果を提供しております。


電磁波シールド技術


反射

反射(reflection)は電波を吸収せず、入射角と同じ角度で反射させるシールド技術であります。この技術は一般的に高周波をシールドするのに使われており、銅やアルミのように導電率の高い材料を利用して実現することが出来ます。ファラデーケージは反射技法の代表的な事例となります。しかし、意図しない方向に反射された電磁波が新しい干渉を引き起こす可能性があることは、設計の際に注意すべき事項となります。



吸収

吸収(absorption)は電波エネルギーを熱エネルギーもしくは電流のような他の形に変換させる技術となります。


放射された電磁波が電波吸収体(electromagnetic absorber)に出会うと、一部は反射され、ほとんどが透過されますが、ある特定の周波数の電波は、吸収体の中で熱エネルギーに変換されます。このように変換されたエネルギーの大きさほど電波の強度は弱まり、このような役割をする材料を電波吸収体と言います。このような枠割をする吸収体には、ピラミッド吸収体、フェライトタイル、フェライトラバーシートなどがあり、ファラデーケージ内部に付着すると内部の電波の乱反射を減らす役割をすることとなります。


電磁波シールドテスト及び認証


電磁波シールド規定

電磁波シールドの効果を保証するために、電磁波シールド材料および製品のテスト、そして認証を案内する多様な標準が制定されました。このような標準を通じて多様な電磁波シールド材料および製品の性能を評価、比較することが出来ます。


このような標準の中に一つは電子機器筐体に使用される素材のシールド効果をテストするための米国軍事規格MIL-STD-285となります。MIL-STD-285は多様な周波数範囲で、材料のシールド効果を評価するためのテスト手順及び測定方法を指定しています。もう一つの規格はIEEE Standard 299があります。こらは、多様な周波数範囲で筐体のシールド効果を評価するためのテスト方法、測定手順及びデータ分析技法などを指定しています。


その他に国際電気技術委員会(IEC)、米国連邦通信委員会(FCC)、欧州連合(EU)など多様な規制機関で無線通信及び医療機器などのための電磁波シールド規定と標準を制定しています。


電磁波シールド標準に基づくテスト及び認証は、電磁波シールド素材及び製品の安全性、信頼性及び硬化を保証するために非常に重要となります。



電磁波シールドテスト方法

電磁波シールドの効果を保証するための素材と製品のシールド性能の評価する多様なテスト方法が開発されました。このようなテスト方法には、シールド素材もしくは製品を透過する電磁波の量を測定する方法が含まれています。


一般的に使われているテスト方法の一つは、シールド効果テスト(SET; shielding effectiveness test)であり、シールド素材または製品を中心で内側と外側を比較し、電磁界強度の減衰を測定する事となります。SETは電磁波放射源(noise source)と受信機(antenna; receiver)の間にシールド材や製品を配置し、シールド材や製品の両方の電磁波強度を測定する方式で行われます。それから、シールドっ効果は保護されないほうの電磁界強度と保護されるほうの電磁界強度の比率で計算します。


確率された標準及び試験方法に従って電磁波シールド素材及び製品テストを認証することは、多様な応用分野でこのような素材及び製品の安全性、信頼性及び効果を保証するのに非常に重要となります。このようなテスト結果は製品開発及び品質管理に有用な情報を提供し、顧客が電磁波シールド素材及び製品を選択する際に、情報に基づいた決定を行うのに役に立ちます。



認証及び規定遵守

電磁波シールド素材及び製品のテストと認証において、認証と定められた標準遵守は重要な側面となります。認証の目的は素材と製品が電磁波シールド効果と安全性に対する定められた標準を満たしていることを確認することとなります。


多様な応用分野で電磁波シールド素材及び製品を規制するため多様な国内及び国際標準が開発されています。例えば、国際電気技術委員会(IEC)は電子機器及び医療機器に使われる電磁波シールド素材及び製品に対する標準を開発し、米国素材試験協会(ASTM)は航空宇宙、自動車及び軍事用アプリケーションに使われる電磁波シールド素材及び製品に対する標準を開発しました。


このような標準を遵守して認証されるために電磁波シールド素材及び製品は定められたテスト方法に従って厳格なテストを受けなければならないです。その後、独立認証機関でテスト結果を評価し、素材と製品が電磁波シールド効果及び安全性に対する定められた標準を満たしているかを判断します。


認証及び定められた標準遵守は、電磁波シールド素材及び製品の安全性と効果を保証するだけではなく、製造メーカーが顧客の信頼と信用を得るのに役立ちます。また、認証及び規定遵守は製造メーカーの製品が電磁波シールドに対する最高品質標準を満たしていることを証明することで、市場で競争優位を確保することが出来ます。


結論


電磁波シールドは、電磁波干渉(EMI)の有害な影響から電子機器やシステムを保護するのに重要な役割をしています。EMIは電子機器やシステムに障害、誤作動または損傷を引き起こす可能性があるので、このようなシステムをシールドすることは必須的となります。電磁波シールドは現代技術の核心要素であり、電子機器とシステムが日常生活に幅広く浸透するにつれて、その重要性はますます高まっています。


電磁波シールドの未来

ここでは、電磁波シールドの使用方法を形成できるいくつかの将来のトレンドがあります。


一つは、より高い周波数でより優れたシールド性能を提供する新素材の開発です。電子機器はますます小型化、高性能化につれて、高周波での電磁波がシールドできる材料の必要性がますます高まっています。研究者たちは、カーボンナノチューブやグラフェンのようなナノ素材を潜在的なソリューションとして研究しています。


もう一つのトレンドは、電磁波シールドを電子機器やシステムの設計に統合することです。設計者はシールドを後から適用することではなく、設計プロセスの初期段階から要求事項を検討しています。これにより、装置やシステムの特定要求事項に合わせて調整されたより効率的でより効果的なシールドソリューションが開発できます。EMC技法を適用した半導体パッケージングは既に商用化されています。


3Dプリンティングのような積層製造技術も電磁波シールドの今後のトレンドです。このような技術を使うと複雑な形状を生成し、複数の素材を単一部品に統合することが出来ます。これにより、アプリケーションの特定要求事項に合わせて、より効率的でより効果的なシールドソリューションを開発することが出来ます。


最後に、新しいテストや認証方法の開発は、電磁波シールドの今後のトレンドです。新しい素材や技術が開発されることにつれて、このようなソリューションが電磁波シールド効果や安全性に対する定められた標準を満たしているかを確認するために新しいテスト方法を開発する必要があります。


結論として、新素材の開発、設計プロセスにシールド機能の統合、積層製造技術の使用、新しいテストや認証方法の開発などのような技術の発展に伴い、効果的な電磁波シールドソリューションにの必要性がますます高まっています。